Apple Music スタートでそのビジネスモデルの問題点をさぐる

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 7月1日から日本でも、Apple Music がスタートした。ひとことで言うと、定額制で音楽が聴き放題になるサービスだ。やがて、この方式が主流になるだろうから、長所と短所を再確認しておこう。

Apple Music を利用するメリット

 同様のサービスが国内で先行して提供されているが、まだそれほど普及していない。日本人は自国の特殊性をアピールするのが好きだが、音楽の聴き方はしだい変わるはず。それがネット時代の必然なのだ。

 こうしたサービスは「サブスクリプション・モデル」といって、音楽以外にも、いろいろある。日本で比較的利用されているのが、ドコモのやっているdマガジンという雑誌読み放題サービスだ。

 利用者側のメリットはいちいち購入しなくてすむということだ。単純な金額的な損得より、こちらの部分が大きい。もうひとつのポイントがデジタルデータになるから、収納いらずでもち運びも簡単ってことがある。

 サブスクリプションではないが、すでにデジタルミュージックのダウンロード販売は浸透していて、音楽業界にはなにかとインパクトをあたえている。ミュージシャンの収入源はライヴやグッズ販売に重心が移っている。

音楽業界全体から見た問題点

 今後、Apple Music などの事業者が考えなければいけないのは、ミュージシャンにせめてCD時代と同程度の還元があるような仕組みが構築できるかだろう。レコード会社がつぶれるのとはワケがちがう。

 ミュージシャンが食えなくなれば、当然、プロは存在しなくなり、作品を発表したいだけのアマチュアしかいなくなる。おもしろいコンテンツが供給されなくなれば、業界じたいが存続の危機にさらされる。

 ここに起業家のチャンスがあって、かりにサービスは後発でも、ミュージシャンがうるおう仕組みを提供できれば、アップル相手でも勝てる可能性がある。もちろん、ただ還元する%を大きくするだけじゃダメだぜ。

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