大阪ミナミの戒橋。その昔、ひっかけ橋と呼ばれたナンパ・スポットは、いま外国人観光客であふれ返っている。グリコのマークをバックに両手を広げて写真撮影している。
周辺の道頓堀、心斎橋筋、黒門市場といったあたりは、いまや日本人の方が珍しいくらいだ。こうした観光客相手のいわゆるインバウンド・ビジネスに関心が集まっている。
爆買いの次のステージへ
もうけ話に敏感な人だと、インバウンド・ビジネスと聞いても「いまさら」と思うかもしれない。分野によってはたしかにそうだが、現在は新しいステージに突入している。
従来であれば、潤うのは「観光産業」と呼ばれる業種止まりであった。旅行会社、運輸業者、宿泊施設、名所旧跡、みやげ物屋、飲食店……あたり。その範囲が広がっている。
そもそも、流行語になった「爆買い」も、ウォシュレットや薬などそれまでの感覚からすれば、観光客向けとは思えないものが中心だった。爆買いじたいはもう沈静化している。
だからといって、中国人をはじめとする観光客じたいの日本への興味がなくなったわけではない。安定した産業へと成長しつつあるわけで、ビジネス方面にも変化が訪れている。
流れに乗るとリスクは軽減される
したがって、いまさら心斎橋筋商店街にドラッグストアを出店しようとしても手遅れだ。その一方で、ニッチだけど確実にニーズにあるビジネスというのもある。
代表が規制緩和がおこなわれた「民泊」だ。OLあたりでも、ワンルーム・マンションを2部屋貸して、月7万くらいの収入を得ている。副業としてみれば、じゅうぶんだろう。
これなどは従来の不動産投資の応用である。したがって、物件さえ手に入れてしまえば、管理その他は業者が全部やってくれる。もちろん、借り手がなければ赤字だけど。
ビジネスである以上、リスクはつきものだ。ただ、流れに乗ることで、リスクは軽減される。ホテルが不足しているといっても、ホテル業は大投資、民泊なら個人でもって話。
街が変わればPRの方法も変わる
もうひとつの流れがデジタル技術のインバウンドへの応用で、スマホ、タブレットは旅行者ももってくる。そこで、地図、翻訳、通訳などのニーズが生まれているのだ。
あるいは、看板業者。これまでなら「古い看板を新しくしましょう」ともちかけても相手にされなかったのが、「中国語表記を追加しましょう」と言えば、話を聞いてもらえる。
ビジネスというのは、ショボくれているところよりも、景気よさそうなところにもっていった方が話がまとまる。観光地に店があれば、イヤでも外国人の増大を感じる。
そうやって、街の景色が変われば、ビジネスも変わる。店と客、人と人とのコミュニケーションの方法も変化する。なにかのプロモーションするときは変化に注目しよう。