大阪の七夕イベント「天の川伝説」をビジネスモデルとして見る

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 「天の川プロジェクト」の名の下、七夕にイベントがおこなわれる。天神祭に次ぐ大阪の風物詩に育てようとしていて、昨年は5万人動員した(ちなみに、天神祭は130万人)。

 メインの「平成OSAKA天の川伝説」は天満橋付近で「いのり星」というLEDを使った光の玉を流し、大川を天の川に見立てようというもの。古来の信仰の再生だ。




無料のコンテンツを核に集客する

 この「天の川伝説」を例に、現代版の祭りのビジネス的側面を見ていきたいと思う。

 まず、言えるのは、イベントじたいは無料で楽しめるということだ。

 「いのり星」を自分も流したいなら、金がかかるが、見物するだけなら、タダだ。これは古来からあるある祭りや花火大会も同様で、あたりまえに思うかもしれない。

 しかし、これにビジネス用語をあてはめたら、コンテンツ・マーケティングといっしょだということだ。イベントという無料のコンテンツを核にして集客をはかっている。

 たとえば、ネットには無料の情報があふれている……と思っているかもしれない。が、利用者の側はネット環境を利用することに対して通信費を払っているわけだ。




訪問を売上げへと回収する仕掛け

 イベントや祭りに参加する場合も同様で、開催地近くの会社にでも勤めているのでないかぎり、そこに行くまでの交通費は払っている。それだけで経済活動は発生している。

 地域振興的な観点から言えば、屋台や夜店の類、そういうものが出ないイベントでも、近隣の飲食店その他には、直接間接の利益がもたらされるであろう。

 その回収をより強固にするために、同時開催されるのが「大阪七夕バル」だ。3枚つづりのチケットを買えば、参加している店舗の好きなところで使える。

 チケットは通常1000円程度のメニューが700円相当になるお得なもの。だが、そのお得を享受しようとした見物人たちは、結果的に日頃使わないお金を使うことになるわけだ。





 
 
※こちらの原稿は、2015年6月の記事を改稿の上、再掲したものです。
 
 
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