はじめから悪意あるビジネスをやっている企業というのは、ほんのひと握りだ。投資にからんだ詐欺事件などがときどきニュースをにぎわせているけど、すべての投資会社がダマしてやろうと思って勧誘しているわけではないだろう。なのに、なんで職場や自宅にいきなりかかってくる勧誘の電話があんなにうさんくさいのか。それはやはり、「いきなり、電話で」だから。こっちから、たのんだわけでもない迷惑な行為だからだ。
かといって、パンフレットなどを作って、送りつけても、封も切らずに捨てられる。なかで働いている人間からすると、
「話さえ聞いてもらえれば、あやしくないこと、お得なことがわかってもらえます」
といったところだろう。投資会社にかぎらず、多くの企業に似たような側面があると思うが、聞く気になれない。聞く気になれない理由のひとつに、見ず知らずの人間の話に時間をさくのがイヤということがある。
こうしたビジネスのジレンマの打開策として、ネット方面で注目されているのが「コンテンツ・マーケティング」だ。ようするに、CMじゃなく、コンテンツの魅力によって、結果的に企業活動の利益に結びつけようという作戦である。したがって、コンテンツには企業色のないことがフツーだ。
改めて注目をあびているのは、放送とちがって、ネットの場合は、利用者が自分で知りたい情報を積極的にさがしているという特性による。そこに興味のあるコンテンツを提供することができれば、そのネット・ユーザーと接点をもつことができる。投資会社が、
「競合他社より長い歴史と実績があります」
と信頼性をアピールしたところで、投資する気のない人間には響かない。でも、興味ある情報なら、「話を聞いてくれる」のだ。