【本の売れ筋】だるまさんシリーズが340万部も売れた理由


 大人気の絵本『だるまさんが』『だるまさんの』『だるまさんと』はあんまり売れたんで、いまは3冊セットになって、それがひつつづきロングセラーとなっている。3冊合計で340万部。1冊目が出たのは2008年なのに、2015年の上半期でも児童書の2位という売れ行き。1位は妖怪ウォッチ関連だから、事実上1位と言ってもいいくらい。

 なぜ、だるまさんシリーズはこれほど人気なのか。フツーの絵本とどこがちがうのか。

キャッチフレーズは「泣く子も笑う」

 本にかぎらず、世の中の商品は、ターゲット選定をしっかりしようと言われるが、これはものすごくしぼり込んでいる。「ファーストブック」と言われる、子供にとっての最初の1冊であることだけを目指している。

 あまりにヒットしたので、幼稚園保育園などでの読み聞かせ本としても定着した。それじゃ、ファーストブックじゃないじゃないかと思うかもしれないが、ヒット商品はコア・ターゲット以外に広まったとき、生まれる。

 初版は6000部スタートだった。

 内容は「0才児」を笑わせることだけに特化している。一般的な絵本のようなストーリーもなければ、教訓もない。

 でも、待望の赤ちゃんが生まれ、泣くことが仕事のような我が子の世話をしている母親にとって、
「子供が笑ってくれる」
 というのは、最高のごほうびなのですよ。幼稚園保育園の読み聞かせ担当にとっても。

善は急げ

 つまり、内容的には、0才児ターゲットでも、金を出す大人の満足度が高い。そこで、口コミが広がっていく。孫へのプレゼントといった需要も生まれる。

 ここまでホメられやすい本に、レビューで悪い点をつけている人が値段を問題にしているのがおもしろい。そういう人は、笑顔という結果ではなく、モノとして本を見てる。

 あと、読み聞かせが基本なので、子供にウケなかった人は本の内容に文句をつける。

 これは作者・かがくいひろし50才のデビュー作。『だるまさんが』『だるまさんの』『だるまさんと』の内容が教訓的でなくたって、本人は「信じていれば、夢はかなう」式の人生を体現している。

 ただし、もうひとつ、悲しい教訓もある。こんなにもヒットしているのに、作者はもうこの世にいない。昔の人はこう言った。

「善は急げだ」

 かなう夢なら、さっさとかなえよう。

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