【ブラック企業の特徴と事例】ひどい会社の愉快な朝礼あるある

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ブラック企業、パワハラ、過労死……労働環境をめぐる暗いニュースが世間を騒がせるたびに「うちも似たようなものだ」「うちはもっとひどい」とつぶやく社員は多い。

eye catch 会社辞めたいんです

とくにワンマン社長のいる中小企業では、朝礼での話からして常軌を逸していることが珍しくない。以下は、2017年の事例だが、年度に関係なく普遍的な特徴の出た悪夢である。

ブラック企業の事件簿:過労死について考える

小さな広告代理店の朝礼で、社長が世間で騒がれている過労死のニュースを取り上げた。大手広告代理店・電通の女性社員が過労から自殺した痛ましい事件である。

朝礼でこういうことを言うからには、この会社では、こういうことがおこらないよう、心身ともに健康に気をつけよう、上司も注意したまえ、みたいな話かと思うだろう?

ところが、この社長の話は、方向が少しちがった。「電通のように大きな広告代理店でも、営業社員は死ぬほど悩んで、必死に仕事をしている」と言うのだ。

そこから、自社の売り上げ低迷に関して、もっと必死に仕事をしろと、社員を説教しはじめると、社長はこうつけ加えた。

「なぜうちの会社はだれも死なないんだ?!」

ブラック企業の仕事術:どうふるまうかが大事

おなじ広告代理店の、べつの日の朝礼のこと。最新ニュースが大好きな社長は、(当時)アメリカで新しく誕生したばかりのトランプ大統領の行動にふれた。

就任するや、たんなる選挙用の演説と大半の人々が思っていた乱暴な政策を次々実行に移すトランプ大統領。いくら大統領権限とはいえ、あまりに強引だと混乱する周囲の人々。

社長は言った。トランプ大統領は、どんなに批判されても気にせず、自分のやりたい放題で、考えを押し通す。キラわれても他人に迷惑をかけても、おかまいなしだと。

当然、それでは、うまくいかない、という訓示だと思うだろう? ところが、ちがった。

「おまえたちも、トランプ大統領を見習って、もっと強引な営業をしろ」

ブラック企業の行動学:他人のフリ見て我がフリ直せ

これは、この広告代理店の社長にかぎった話ではないが、中小企業の経営者はゴルフ好きである。いや、大企業の幹部も、トランプ大統領もご同様か。

例のバブルの頃ほどではないかもしれないが、取引先とのゴルフは頻繁におこなわれる。それで、仕事をとってきた試しがなくても、おかまいなしに、いそいそと出かけていく。

この社長も平日の昼間から、大きなゴルフバッグをかかえて、社内をうろうろしていた。そのうち、そばにいた社員をつかまえ、このバッグをオレのクルマまで運べと命じる。

経営者としての判断だから、文句は言えまい。翌日の朝礼での話ががまた見事だった。

「おまえら、もっと危機感をもって働け」

どの口が言うとんねん、というね。

●ライターの感想

2018年に『獣になれない私たち』というドラマ(主演・新垣結衣)が週刊誌で話題になっていた。主人公の上司である社長(演者・山内圭哉)の恫喝や横暴ぶりがすごい。

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ああいう世界を知らない視聴者は、誇張して演じていると思っていたかもしれないが、かなりリアルだった。未見の方は、いちどご覧になると……イヤな気持ちになれるだろう。

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