ビジネスをしていく上で、社内・社外のクリエイターを使うことがある。わかりやすい例だと、デザインとか広告コピーとかね。そのとき、こちらの発注した内容に対して、期待したレベルに満たない制作物が納品されたら、どうすればいいか。
当然、やり直しをさせるわけだが、いわゆるダメ出しのしかたによって、制作物のクオリティがぜんぜんちがってくる。ほとんどのクリエイターは、ダメ出しされるのがキライだからだ。
たとえば、外注しているクリエイター相手に値切るなんてのは、最低のやり方である。
「こんなレベルのことしかできないんだったら、約束の金を払うことはできないな」
こんなこと言われたら、クリエイターの方はがんばるどころか、手をぬいてやろうとしか思わない。もし、これで必死になるクリエイターがいたら、よっぽど金にこまってるやつだ。そういうレベルの低いクリエイターとしか仕事ができないってことだ。
じっさいには、優秀なクリエイターであっても、最初から完ペキというのはなかなかない。それで、ヘソを曲げられたら、損するのこちらである。社内のクリエイターに対しても同様で、
「給料分ぐらいの仕事をしたら、どうだ」
なんて言い方をしたら、相手は内心アホくさ、としか思わない。こういう言葉をつい言ってしまうタイプのまちがいは、自分の方が立場が上だという錯覚にある。
たとえ、会社組織の中で、自分の役職が上でも、それは社内行事での席順などでの話。クリエイターにかぎった話ではないが、だれかに仕事を依頼するのは、自分ではそれができないからだ(能力的あるいは時間的に)。エラソーに言われた方は、
「じゃあ、おまえがやれよ」
と、つぶやいて、ヤル気をなくす。自分の立場(依頼主と外注先、社内の命令系統)と仕事上の役割分担を混同してはいけない。