研修や実習での日報の書き方とポイント


 日報の書き方といっても、その人の置かれている立場や職務などによって変わってくる。ここでは、研修期間や実習時における日報の書き方を例文を交えて解説していく。

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 研修の場合、専用の書式が用意されていて、日報というよりレポートを提出させられることもあるが、日報とは日々の報告文(レポート)のことだから、基本的にはおなじだ。

研修における所感の例文

 研修中の日報では、キミがなにをどのくらい理解できたかを示す。教えた側がいちばん知りたがっているのはそこだ。「なにを」は簡潔でいいので、理解の度合いを書く。

「本日は、電話応対について教えていただきました。いろいろと勉強になりました」

 なんて書いても、なにも理解したようには見えない。

 電話応対のようなトピックは、業務(研修)内容のところへは書くが、所感では、もっと具体的なこと、学んだ中でとくに印象深かったことを取り上げて書くといい。

「電話であっても、話すときの姿勢が声にあらわれるという内容はとても参考になりました。取引先との電話では、背筋をピシッと伸ばして、好印象をあたえるように努めます」

実習でした失敗を日報で説明するとき

 学んだことを取り入れるつもりだ、といった意志表明は、日報のシメに使いやすい。けれども、就活のエントリーシートに書くような意気込みはいらない。

「お客様の喜ぶ顔を見て、私自身、働く喜びを感じ、この仕事に誇りがもてるようになりました」
 みたいなことは自分用の日記か作文にでも書けばいい。

 研修や実習の場合、教わった内容に対する感想文になりがちなので、注意する。はじめのうちは、不安でいっぱいだろうが、そうした感情も業務=日報とは関係ない。

 ただし、「お客様に言われたことにカッとして、思わず殴ってしまいました」というようなときの「カッとした」などの感情は状況説明になっているので、記してかまわない。

自分以外のことを日報に書く

 実習は職場ごとで受け入れ態勢に差がある。もし、放って置かれても、自分でやることをさがし、やったことを報告する。それを読めば、次の日は指示をくれるかもしれない。

 我々だったら、所感の欄に「本日学んだこと」といった項目を立て、数個ならべて箇条書きにする。「今後の課題」といった項目があってもいい。

 日報と日記のちがいはなにかと言うと、日報には客観性が必要だということだ。その日そこで(職場なら職場で)なにがあったかを正確に報告するという側面が日報にはある。

 問題を感じた点があれば記す。それに対する提案も書ければいいが、そう毎日アイデアがわくものでもない。まずは、判断材料となる事実(職場状況)の報告で十分だ。

観察するだけでも学べることはある

 研修中や新人のうちは、自分のことでいっぱいいっぱいだと思うが、周囲に目配りをしておくと、俄然、日報に書くことが増える。自分以外のことを書いたっていいのである。

 余裕があるときは、他の人がやっていることを観察するといい。もしくは、自分に接してくれる人の言動に注目する。毎日観察ポイント変えれば、日報のネタにこまらない。

 たとえば、「B先輩の教え方はとても上手だ」と感じたとしよう。そのことをメモしておいて、日報に書くときに、なぜそう感じたのか、他の人とどこがちがうかを分析する。

 直接、先輩と交流しているとき以外でも、接客中の姿や同行中の商談のようすなどから、「なるほど、ああいう風にすればいいのか」と気づくこともあるはずだ。

他人の視点で職場をながめてみる

 キミが「○○先輩のこうしたところを見習いたい」ということを日報に書けば、間接的にその先輩のホメ言葉になる。第三者経由でホメられるのは、うれしいものだ。

 そうした人間関係の機微も含め、仕事を学ぶ相手は先輩だけとはかぎらない。同期や年下のアルバイト、出入りの配達員からだって学べることは(反面教師も含め)あるのだ。

 他人の良いところを積極的に報告するのは、結果的に自分のためにもなる。他人の良いところを見つけられる能力があるということで、キミ自身の評価も上がるのだ。

 実習中や新人時代は任せてもらえる仕事は少ない。先輩を見て学ぶときは、その先輩になりきってみよう。自分ならどうするか考えながら観察すると、いろいろ発見がある。

 他人から得た有益な情報や観察して気づいたことは、日報を通して、上司や他のスタッフとも共有する。お客様や取引先との会話の要点をまとめるだけでもいい。

 そんなことは、口頭で報告していると言うかもしれないが、おなじ言葉でも会話と文字では入ってくる印象がちがう。それを聞く/見るときの状況によっても変わってくる。

 
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