新入社員の日報の書き方◆コツや注意点と例文


 日報にどんなことを書くのか、日報の書き方がわからない、なぜ書かされるのか、と感じる新入社員は多い。日報の目的や内容、書き方のポイント、注意点を把握しよう。

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 いい日報を提出することで、チームに貢献できる。たとえ、能力が低く、ヤル気がなく、評価が低くても、日報で挽回できる。能力が高く、ヤル気があるならなおさらだ。

新入社員が日報を書く目的

 新入社員の日報は上司や教育担当が読者となる。他のスタッフと日報を共有する職場もあるが、まずは「上の人」に向けて書く。新入社員に日報を書かせる目的は主に3つだ。

(1)新入社員の業務を上司が把握するため

 勤務態度よりも日報で重視されるのは、業務内容と進捗度合いだ。これにより、工数、人材配置が適切か確認し、進行を管理する。

(2)新入社員の課題を周囲が認識するため

 はじめから全部完璧な新人はいない。どういう課題に直面し、なににつまずいているか、チームの問題としてとらえ、協力する。

(3)新入社員自身の成長につなげるため

 日々漠然とストレスをかかえたり、失敗をくり返したりするのではなく、問題点を整理し、解決策をさぐることで、能力も高まる。

新入社員が書くべき日報の内容

 日報の基本フォーマットは「業務内容」と「所感」だ。それじたいはベテランと変わらないが、新人のうちは、とくに意識して記したい項目がある。

(1)業務内容

 今日一日なにをしていたか、ということを時系列で記す。それによって、上司はキミの能力と工数や作業量のバランスを見極める。

(2)目標と達成状況

 個々の業務内容や作業ごとに、目標と結果がわかるようにする。売上げなど専用に書く欄/書類があるなら、それは省略していい。

(3)所感:うまくいった点や改善すべき点

 上で記した業務内容の中で、トピックとして記しておくべきことを拾い上げる。課題があるなら、乗り越える方法や計画も書く。

短時間で日報を書くコツ

 日報の書式が自由の場合、かけていい時間もしくは書く量を最初に上司に確認しておく。目安として、10行10分ぐらいだ。A4用紙1枚相当だと、30分はかかる。そこで──

(1)業務中に気づいたことはメモしておく
 それがあれば、思い出す時間をはぶける。

(2)自己流のテンプレートを複数用意する
 細部だけ変えればいい定型を何個か作る。

できる新入社員は日報をどう書くか

 日報に「なにを」書くかは大まかに見えてきたとして、「どう」書くかがわからなければ、時間がかかってしまう上に、読む方も読みにくいものになってしまう。

 どう書くかと言うと、要点だけを書く。日報には要点が伝わるだけの最低限の情報を書けばいい。そこからもれた内容は口頭で補足するくらいの割り切り方で十分だ。

新入社員が日報を書くときのポイント

 一生懸命書けば、いい日報になるわけではない。たくさん書いてあるのがいい日報ということでもない。短くまとまっている文章の方が読みやすく、いい日報と言える。

(1)業務内容は箇条書きにする

 業務内容は1つにつき1~2行程度にまとめる。「始末書を書く(裾上げ失敗の件)」のように記し、詳細が必要なら所感に書く。

(2)所感は結論から書く

 所感はある程度の量の文章になるが、これも見出しにするような感覚で、まず1行、結論を書いてから、その詳細を記す。

(3)事実をしっかり書きとめる

 短い文章でかまわないので、伝えるべき内容の基礎となる事実が伝わるように記し、事実と意見をきちんと分ける。

新入社員が日報を書くときの注意点

(4)明日につなげる意識をもつ

 失敗したら、反省する。うまくいったら、次の段階を目指す。事実を土台にしつつ、その経験を明日以降にどう活かすかを書く。

(5)数字やデータを添える

 事実を感覚的に漠然ととらえず、数字で表現できるものは極力数値化する。日々の目標も数字に落とし込む。

(6)客観性を保つ

 一日をふり返って、自分を客観的に評価する姿勢が大事だ。他のスタッフやお客様の感想・意見も必要に応じて取り入れる。

(7)日報を読み直す

 提出するまえに読み直して推敲するのは文章を書く上での基本だが、書いたものを自分でときどき読み返すのも発見がある。

日報には原因分析や改善策も必要

 文章力をアップさせたいなら、自分の日報を社外の友人知人に読んでもらい、伝えたいことが伝わっているか確認する(読ませていい内容かどうかは慎重に判断して)。

 なお、上司にこういう情報も入れて欲しいと言われときは従うが、文章表現に関する批判は話半分で聞き流していい。そこに関しては、専門家の助言の方が正しいはずだ。

 新人の中でも、職場に入りたてのころは、事前の研修や学生時代に学んだことと実践がちがいすぎて、とまどうことも多々あるだろう。日報では、それをこそ書く。

 なぜ、とまどったのか、できなかったことがあるなら、原因はどこだと考えられるか、などを自分なりに分析する。その上で、次はこうしようと思うという改善策も記す。

日々の変化も日報の題材

 新人のうちは、原因分析や改善案がまちがっていたり、未熟だったりすることも珍しくない。しかし、自分の頭で考えることが次に生きるし、読む側は指導に活かせる。

 よいリーダーや先輩は、日報の内容や現場でのキミの言動からいろいろ教えてくれるはずだ。そうして教わったことを日報に書けばいい。が、やってはいけない書き方がある。

「先輩のAさんに○○について教えていただきました。ありがとうごさいました」

 日報にお礼なんかはいらない。それより、教えてもらった結果、どうなったかを書く。

 言われたことをすぐにはうまくできないかもしれない。それでも、多少の変化や心がけたことはあるだろう。おなじ課題の日々の進歩を書く連続モノのような日報もありだ。

失敗を抱え込まずに日報で報告する

 日報の大きな目的(書かせる側の目的)はキミの上司や周囲のスタッフが新人であるところのキミの進捗状況を把握し、つまづいているところを確認することにある。

 だから、日報でウソをついてはいけない。じっさいより自分をよく見せそうと表面をとりつくろったりしてもいけない。正直に日報を書く方がけっきょくは自分のためになる。

 失敗を正直に日報に書いたら、上司から怒られるのではないだろうか、と心配になるかもしれないが、そんなことで怒る上司がいたら、そいつのレベルが低いのである。

 まあ、軽く注意されるくらいはあるかもしれないが、多少のストレスは仕事を覚えるためと思って、ガマンしよう。報告することで、失敗はひとりで抱え込まなくてよくなる。

営業や事務に配属された新人の日報の書き方

 それこそ、研修などで、「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)を習わなかっただろうか。日報はそのものズバリ報告で、問題があれば、職場全体で共有し、解決にあたる。

 良いことやキミ自身の成長(できなかったことができるようになった、など)も共有すればいい。キミの成長はチームにとってもプラスで、チームは次のステップに進める。

 ここでは、新入社員/新人として職場に入ったときの日報の書き方を例文とともに解説する。その職場に日報のテンプレートがある場合は、適宜アレンジして欲しい。

 新人には、大きな使命が2つある。それは仕事を覚えることと職場に溶け込むことだ。それができているかどうかを上司やリーダーとキミ自身が確認するのが日報の役割だ。

営業職の新人の日報

 日報の基本は、業務内容と所感だが、新人だと、日々の目標を書かせる職場がある。そういう指定がない日報でも、業務内容にうまく入れ込むといいだろう。

「テレアポ目標200件に対し、通話数180件」
「外回り訪問予定4店に対し、訪問数5件」

 このように「目標+実際の進捗状況」から記せば、これじたいが結論=見出しになる。

 そうして、目標に対して、進捗のプラス・マイナスがあるときは、なぜそうなったかという理由、うまくいったらいったで、なぜうまくいったかという理由を所感に書く。

 たとえば、テレアポが少なかったのは、サボッていたのか、リストの精度が低かったのか、アポの取れた数が多くて1件あたりの通話時間が長かったのかなどを書くわけだ。

事務職の新人の日報

 職務内容によっては作業量が他人に左右されることもあるだろう。営業事務をやっていて、営業が取ってきた契約の書類をチェックするのが仕事といったような場合だ。

 こういうケースでは、処理すべき書類の数が目標に相当する。

「本日、営業2課の契約数3件。内2件の書類は処理済み。1件は不備のため差し戻し」

 日によって処理数はちがうだろうから、少ない日は手のあいてるときになにをしていたかを書く。そういうものは、そのつど、自分で目標を設定すればいい。

「○○年度から△△年度の書類を倉庫にもっていき、書類棚を整理しました。途中、電話対応などがあり、××年度以降の分がまだ棚に残っています。明日以降に移動します」

 上の例文は、代表的な例ということで、内容が少し優等生気味になっている。新人のうちは、目標未達や進捗の遅れの原因が自分のミスや能力不足のことも多いはずだ。

 そういうときは、「どこで」「どのように」ミスしたか、どういう点が苦手なせいで、進捗に遅れが生じているのかといったことを具体的に(ただし、簡潔に)所感に記す。

 
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