小説の一形態としてのライトノベル(ラノベ)は、市場にしっかりと地位を占めていながら、というか旧来の小説を押しのける勢いでありながら、明確な定義がない。
なんとなくの傾向というものはあっても、「小説」という言葉にさまざまな要素が含まれているのとおなじぐらい、幅広い作品を含んでいる。
小説よりマンガやアニメに近いラノベ
大ざっぱに言うと、主に10代の読者を対象とした比較的読みやすい=ライトな(軽い)小説となる。しかし、これだって年月とともに変化し、30代読者が主流のラノベもある。
ただし、その存在をハッキリ知らしめる見た目の特徴があって、表紙にアニメ調のイラストが使われ、本文にも、おなじテイストの挿絵がたくさん使われている。
また、いまでは、ラノベから普通小説へ転じた作家もたくさんいるけれど、ライトノベルの基本精神というのは、古くからある文学作品よりマンガやアニメ、ゲームに近い。
内容も、ファンタジーやSF、ミステリ、学園モノなどマンガでおなじみなものがほとんどだ。古いタイプの文学者からは「荒唐無稽」と評されるような設定が目立つ。
ラノベは描写を捨てて会話を重視する
たとえば、浮気性の男と嫉妬深い女という組み合わせは古い文学にもある。でも、高校生男子にホレた美女が鬼型宇宙人で、虎縞模様のビキニを着ていれば、マンガである。
従来のファンタジーやSFであれば、非現実的な設定であっても、作品世界におけるリアリティは確保され、説得力をもっている作品が主流であった。
ところが、マンガを読みなれた読者は「そういう設定なら、それはそれでいいじゃん」とばかりにマンガ的設定や極端な展開をもつ小説を気軽に受け入れるようになった。
そんなことより、おもしろさや読みやすさが重視され、小説の武器だったはずの描写はイラストに依存し、会話でもってストーリーが展開するラノベが急速に支持を得ていく。
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