レビューにふさわしい文章とは


 インターネットの普及によって、「レビュー」という文字を目にする機会も増えた。ネットショップなどをのぞくと、たいてい、購入者によるレビューが載っている。

 あの手のレビューは、他人に読ませる文章として見た場合、あまりにひどいんじゃないかと感じることがある。

読書感想文とブックレビューはちがう

 ネットショップにかぎらない。個人のブログやユーザーが自由に編集できる辞書、掲示板の書き込みなどを見てもそうだ。

 そういうのは無視すればいいという考え方もあるだろうが、ふと思ったことがある。誹謗中傷を書き込んでいるような人間は、精神が貧しいだけじゃなくて、レビューの書き方がわからないんじゃないかってことだ。技術さえ身につければ、もっとちゃんとした内容が書けるんじゃないか。

 このことは、本人がホメてるつもりの文章にも言える。非常に幼稚で、どう書けばいいかわかっていないと思える文章が多い。

 レビューという言葉は使われる場面や人によって意味合いが変わる。たとえば、学術論文などの査読もレビューと言う。また、レビューの訳語に「批評」もあるが、我々は本格的な批評とレビューを便宜上、分けている。

 本屋にならんでいる作家論みたいなものと学校で書かされるような読書感想文がおなじものとは考えにくいだろう。書籍を紹介するブックレビュー(書評)は、このどちらとも文章の性質がちがう。

レビューは利用者の立場で書くもの

 想定読者による分け方も考えられる。これは電化製品をイメージするとわかりやすい。テレビでも冷蔵庫でも炊飯ジャーでもなんでもいい。それを購入した人間が使い勝手の感想などを書くのがレビューだ。ユーザー(利用者)の立場で、他のユーザーのために書く文章だ。

「市場のニーズにマッチしてない」

 といった批評はメーカーの企画会議の方が似合っている。マッチしていようがいまいが使ってみた感想がレビューだ。
 
 
【参考文献】
 『書評の書き方: ベストセラーを作るブックレビュー』
 
 
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