他人になにかをすすめるときには、自信がいる。世間の多くの人は、
「だれだれが『いい』と言ってたから」
ということをその根拠にする。これが広まっていくことがいわゆる口コミだ。
読者にとっかかりを示す
でも、レビューを書く場合は、キミ自身が「『いい』と言うだれだれ」にならなければいけない。その自信を得るためには、自分の中に口コミにたよらなくてもいい基準をもっておく必要がある。
その基準は他人に対しても、説得力をもっていなくてはならない。
「私が『いい』って言ってんだから、いいに決まってんのよっ」
なんて言い草は世間では通用しない。だから、「これを『いい』と言う私はどの私?」ってことを掘り下げていくんである。ご存じのように、「現在の私」は「過去の私」の積み重ねでできている。自分の感性はさまざまな経験の中で磨かれてきたものだ。
ところが、レビューの読者からすれば、そんな「私」のことなんて知らないんである。とっかかりとなるなにかを提示してもらわないと判断のしようがない。
レビューの根底にある「私」
「私」のすべてを理解してもらうのはムリだから、切り口をつける。簡単なのは、
「○○の好きな私」
というキャラクターを身にまとうことだ。そういう「私」が読めば、このように感じるということを語るのがレビューだ。
短いレビューでは、現実問題として、「○○の好きな私」といったキャラクターを文章の中に示すことはしない。キミも日常会話でいちいち自己紹介をしてからしゃべり出しはしないだろう。
ただ、どういう「私」のどういう基準でそれを書いているのか、自分でわかっていることが大切なのだ。そこをベースにして文章を展開することが未知の読者に説得力を感じさせる源になる。
【参考文献】
『書評の書き方: ベストセラーを作るブックレビュー』
【関連記事】
レビューにふさわしい文章とは
読書感想文の書き方:評価されるために知っておきたい1つのポイント