『文章の書き方 基本編: 「うまい」と言われた実例とコツ』【電子書籍】


 文章を書く、という行為の先には、だれかに読んでもらう段階がある。自分のためだけのメモや日記なら、好きに書けばいい。他人に読ませる文章だと、そうはいかない。大なり小なり自己PRの側面をもつ。このことが文章を書くことをむずかしくしている。無意識のうちに、うまく書かなければいけないというプレッシャーを感じてしまうからだ。では、「うまい」文章ってなんなんだろう?

 本書では、じっさいに「うまい」と言われた文章の実例を見せる。これは出版業界で働く人や編集者、ライターといった仕事に興味のある人が受講していたクラスで、最初の課題として提出されたものだ。「自分を売り込む」というお題のまさに自己PRの文章である。実例を書いた男は、プロからも評価され、結果、何人もの女性と同時につきあうことができた。浮気な性格はともかく、まわりにあたえた効果のすごさがわかるだろう。

 実例男は男だが、本書を読むのに性別・目的は問わない。本質は共通だ。我々は実例男以外のクラスメイトの自己PR文も所持している。男女60名分。メンバーは20才の学生から40才ぐらいの社会人までで、女子が多く、中心は20代半ば。受講目的はプロ志向や就職志望、趣味の延長など、さまざま。これだけあれば、キミに似たタイプも含まれているだろう。そこで、ありがちな例を我々が整理し、ポイントを解説していく。

 世の中に、「文章の書き方」について述べられた書物はたくさんあるが、じっさいに効果のあった実例を掲げているものはめったにない。文例が載っているといったって、お手本的なキレイゴトばかりだ。ところが、なにかを伝えたい、創作したい、先生や上司にホメられたい、モテたい、といったような現実に文章を書く、自己PRをするといった場面は、そうそうキレイゴトばかりで成り立っているのではない。

 文章を書くきっかけに関しては、自らすすんでの場合も他人に強制されてのこともあるだろうが、読者の心を動かすという目的については変わりがない。なにが心を動かすのかわかっていなければ、結果はついてこない。どれだけ文法が正確でも、それが「うまい」文章とはかぎらない、というのが我々の立場だ。逆に言えば、心を動かすポイントさえわかってしまえば、あとはそこを練習し、経験を積むだけで、目標に近づく。

 で。あとでお見せする実例男の文章がどれほどスゴイものかというと、じつは、びっくりするほどの名文……ではない。ここがおもしろいところだ。たんに、文章として見た場合にそれほどでもないものが、圧倒的な結果を残している。ということは、キミが文章の天才でなくとも、おなじような成果を得られる可能性がある。実例男と他のクラスメイトのちがいは、書くことの本質がわかっているかどうかだ。

 文章というのは、大きく2種類に分けられる。扱う内容が「事実」中心のものと「感動」中心のものだ。研究論文や調査レポートの類は、事実を正確に伝えることが求められる。最後に意見をつけ加えることもあるが、得られた結果を客観的に述べることが先決だ。一方、子供のころに授業で書かされたような作文は「おもしろかった」「楽しかった」といった言葉に代表されるような心の動きを表現することがいちばんの目的になる。

 我々が本書で中心に扱う文章は、こうした「感動」が中心のものだ。本屋にならんでいるようなエッセイもフィクションも目指すところは「感動」である。作文だろうが小説だろうが、文章を書く上での段取りはそんなに変わらない。では、「感動」を主観的に書く文章で客観性がいらないかというと、その逆だ。けっきょく、どんな種類であれ、文章を書く上での基本は共通しているのだ。

 本書は基本編ということで、いきなり「うまい」文章は目指さない。最低限、言いたいことを伝えられることが第一の目標だ。それだけでも、「わかりやすくて、おもしろい」文章になる。さあ書こう! というときの手順をじっさいに書く人間の立場で、くわしく説明する。ついやってしまいがちなパターンをクラスメイトたちの文章をもとに「よくある例」としてまとめ、我々の「改善案」とともに示しているので、参考にしてくれ。

 文章力を上げたかったら、いちばんいいのは、自分で書いて、個別指導を受けることだ。しかし、現実には、指導者を名乗っている人たちの多くが明確な理論や方針をもっていない。その点、本書を理解して実践すれば、独学でもいまよりはレベルアップできる。だれかの指導を受けるにしても、基本をマスターした上での方がより高いレベルでアドバイスしてもらえる。ついでに、その指導者が無能かどうか見分けることもできるしね。
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