本書では、履歴書・エントリーシートにおける志望動機(理由)の書き方とその心がまえについて解説する。なぜなら、志望動機こそが就職活動の根幹だからだ。にもかかわらず、志望動機の欄になにを書いていいかわからないという人が多い。しかし、エントリーシートの段階で、志望動機をちゃんと書けなかった人間が面接に行って、志望動機をうまく話せるわけがない。それなのに、面接対策にくらべると、文章に対する意識は低い。
昔なら、企業の側も、
「とりあえず、面接で会ってみて……」
という姿勢のところが大半だったが、いまや採用活動においては、エントリーシートその他の書類審査、事前審査を重視して、なかなか会ってくれない。応募者側も書類を出すだけならと手当たりにエントリーして、見た目の倍率だけがやたら上昇する。そういう状況だからこそ、担当者の目にとまる応募書類を作ることが面接への第一歩になる。他の人たちが苦手とする志望動機で目立つと、競争に勝てる確率は上がる。我々の手元には、じっさい面接につながり、就職活動を成功させた志望動機の実例がいろいろあるので、それらを多くの人が応用できるようにアレンジしながら、くわしく解説していく。志望動機の書き方そのものは、あとで紹介するお手本を見てもらえばわかるが、なぜ、そういう文章になるのか理解できていなければ、上っ面だけマネても就職活動は成功しない。
もうひとつ、大きく扱うのが小論文の書き方で、業種や企業によって、応募書類や就職試験に含まれるかどうかはまちまちだが、履歴書やエントリーシートじたいが一種の論文なのである。入社後に、レポートや企画書の類を書かされるとしたら、それも広い意味での論文に含まれる。自分の意見や考えを事実にもとづく形で論理的に述べる。すなわち、エントリーシートはキミ自身の就職についての考えを述べる論文と言える。
(もくじ)
第1部 志望動機のポイントと例文
第1章 志望動機の考え方
目を通してもらえる時間はわずか
やってみたい仕事を志望するな
書かなくても自己分析は必要
きっかけは応募先と無関係でいい
その会社に将来性などないかも
三題噺のつもりで書く
話題は1つにしぼる
「おっ。なるほど。ふむふむ」第2章 志望動機を書いてみる
貴社と御社のちがい
他の応募者とおなじことは言わない
表現に配慮する
仕事内容については相手の方がプロ
担当者が知りたくなる情報を匂わす
応募先のマイナス面を転用する
切り口や解釈を工夫する
行きたい企業を先に決めるな第3章 志望動機をねり上げる
熱意は文字には書かずに感じさせる
仕事内容の理解度を示す
数値とエピソードでふくらませる
ミスマッチと思わせない方法
得意分野と事業内容を結びつける
会社選びの基準を3つ決める
合わない企業の内定はいらない
志望動機を決める手順(まとめ)
志望動機と小論文の関係第2部 小論文の書き方
第4章 就職試験における小論文
例題と設問
確認する5つの条件
意見には事実という証拠がいる
タイトルは究極の要約
論旨を混乱させない
賛成意見になるよう解決策を示す
中身より外見が大事
作文と小論文は別物
パターンさえわかれば書ける第5章 論理的な文章の構成
意見はなんでもいい
議論でしめくくる
あたえられた文字数を3つに分ける
字数配分の目安
序論と本論の関係
要約が理解を深める
こまったときはお題にイイネ!
解説をもとに解決策を提示する第6章 どんなネタにでも使える論法
バカバカしさが発想を柔軟にする
批判的に検討する
事例から反論を導き出す
意味を書いてもしかたがない
小さな話題を取り上げる
さまざまな材料を頭に浮かべる
反論の型をおぼえる
基本スタンスを決めておく