以前、ある企業の研修を受けもったとき、入社３年目の男性社員の個別指導を依頼された。営業成績が伸び悩んでいるらしい。そこで、成績トップの営業マンと彼とのちがいはどこにあるかと訊いてみた。
すると、不満がたまっていたのか、その彼は「売れない理由」をならべはじめた。トップ営業マンとは担当エリアの特性がちがうことや売れている社員ほど手厚く支援する社風だとか。そうじゃなくて、と話を止めた。
たとえば、どちらの背が高いかなど、自分自身とトップ営業マンの差異を挙げて欲しいと説明した。はじめ驚いたようすだったが、こまりながら、いろいろしぼり出すうちに、トップ営業マンは、
「話し方がゆっくりしている」
という項目が出てきた。それで、アドバイスの方針が決まった。「キミもこれまでより、ゆっくり話すようにしてみるといい」
営業のコツなんてのは、頭ではわかっている人が多い。でも、できない。それをできるようにする技術が「ゆっくり話すこと」なんだということを我々の経験と集めたデータをともにいまから示していく。
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