社員は怒鳴ると劣化する:中小企業経営者の人材育成法


ダメな経営者の典型に、社内で怒鳴り散らすタイプがいる。社員の行動で気に入らないことがあると、怒鳴る。説教する。中小企業の社長に多いタイプだ。

ホントに社員の行動を改めさせたいなら、これはまったく逆効果だ。会社の経営が思わしくないほど怒鳴る率が高まるが、怒鳴って売り上げが改善した事例があるのだろうか。

 

社員は怒鳴られないことだけを考える

会社の売り上げが落ちてくると、経営者はイライラする。なのに、社員たちはまったく危機感をもっていないように見える。それどころか、こいつらサボってるのではないか。

社員に対する不信感が高まっているときに、不快な状況が目に入ると、それをきっかけに怒鳴ってしまう。挨拶ができてない。掃除ができてない。契約が取れなかっただと?

もし、社員がサボっているように見えるのだとしたら、じつは社員はサボっている。しかし、怒鳴ってもそれは改善しないどころか、状況は悪化してしまう。

賢い社員はより巧妙にサボる方法を考えるだけだし、賢くない社員は「どうすれば、怒鳴られないですむか」ばかりを考えるようになる。だれも売り上げのことなんて考えない。

 

社員がサボる理由

つまり、それまでは日に10分くらいは売り上げのことについて考えてくれている社員がいたかもしれないのに、その芽すら摘むことになる。怒鳴っても変わるのは表面だけだ。

売り上げをあげれば、怒鳴られずにすむだろう、というのは経営者の都合でしかない。売り上げがあがらないのは経営の問題であって社員がサボっているせいではない。

人間はやることがないと苦痛なものだ。ひたすらサボるよりも、案外働きたい気はある。その気持ちをそぐような環境になっているから、社員たちはサボっているのである。

インセンティブ制度などがあっても、社員はそれだけでは動かない。社員がサボれないよう自由を奪う方法を考えるヒマがあったら、経営者らしく経営について考えることだ。