芥川賞を取り仕切る出版社である文藝春秋が『文學界新人賞』応募作のWeb受付開始に踏み切った。『文學界新人賞』と言えば、芥川賞候補作の供給元と言っていい。そこがデジタルの原稿を受け付けるというのは、
「いまどき、あたりまえなんじゃないの?」
という感想以上のインパクトが地味に秘められている。
文藝春秋が小説観を変更
書き手側の事情からすれば、ずいぶんまえにパソコンで書く作家がほとんどになっていて、ただそれを紙にプリントアウトして送っていただけの話だ。とはいえ、それを直接、デジタルでもいい、というのは、小説において、紙がデフォルトではなくなった、ということだ。それをラノベ出版社ではなく、文壇の総本山とも言える文藝春秋が認めた。
小説なんてのは、目に見えないところで創造されたものを文章化する行為だからね。目に見えないところで起こる地殻変動は、はかりしれない。
『文學界新人賞』応募規定の変更
どさくさにまぎれて、これまで6月末日、12月末日の年2回締切りだったのをWeb受付開始する第121回より年1回とする。ちなみに、9月30日(当日消印有効)までで、Webでの募集期間は8月1日から。
これだけ小説を書きたい人が大勢いる時代に、年2回の募集ではクオリティが維持できないってことなんだろうかね。少なくとも、『文學界』が求めるタイプの新人では。
枚数の規定も、これまで100枚程度だったのを70~150枚と微妙に改定。賞金の50万だけは変わらない。
これも150枚までいけるようになって変更よりも、70枚でもよくなったところに、デジタル時代を感じる。
週刊文春のWebアンケート
ま、出版社としての文藝春秋は、とっくに電子化に突っ走っていて、週刊文春なんかでもアンケートの年令が小学生からになっている。あれ、ネットで募集してんだね。抽選で商品券1万円分を10名にあげますよって。
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