『火花』芥川賞受賞でついに文壇も本屋大賞化


 芸人・又吉直樹の書いた小説『火花』が芥川賞を受賞した。まさかねー、でも、可能性あるよな、なんてようすをうかがっていたら、ホントに受賞してしまった。

芥川賞を受賞するのはダメ作品?

 『火花』ファンのために、念を押しておくが、我々はべつにその内容や作家・又吉直樹を否定するつもりはない。候補になっただけでも立派なものである。

 文句があるとすれば、芸人としての部分であって、受賞コメントがダサい。
「うそみたいな感じ」
 だって。なぜ、

「残念です」

 と言えなかったかのか。

「尊敬する太宰治をはじめ、立派な作家はほとんど落選してきたので、芥川賞を受賞したことを恥ずかしく思います」

 って。それが芸人根性ってもんだろ。

 パンク歌手だって、2回落とされているのに。最初の落選のときは、おばはん作家がダジャレを毛ギライする選評を書いていて、それでよう選考委員やってまんな、と思う一方で、小説の勝利のようにも見えた。

市場原理がすべてなら選考委員はいらない

 我々は危惧するのは、出版界の状況で、とっくにベストセラーになっている小説に賞を出すのなら、本屋大賞と変わらない。

 本屋大賞の方も、首相のお友だち作家に賞を出したことで、ミソをつけた。人気投票型の賞の限界である。それと補完関係にあるはずの文壇の賞が世論に同調して、どうすんのかね。しかも、三島賞が落としたやつを。

「プロの作家さんがちゃんと偏見なしに扱っていただけて、うれしい」

 なんてコメントされていたが、作家の本業が芸人だってことで、バリバリ偏見をもって落としての権威だろ。そんなことしたらしたで、アホちゃうかと批判したと思うが、権威とはそういうもんである。

 しかも、言いわけのように羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』も同時受賞にした。こちらは、むしろ、かわいそうである。
 
 
  『火花』 ⇒ 詳細はこちら
 
 
【参考文献】

 『書評の書き方: ベストセラーを作るブックレビュー』
 
 
【関連記事】

 【本の売れ筋】『火花』と『文學界』増刷に潜む危機感


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください