【脚本の書き方】アイデアをストーリーに!より簡単なハリウッド脚本術


ハリウッド流の脚本術というと、シド・フィールドが確立したものが知られている。しかし、その流れを組まない脚本術もある。ここでは、それを紹介したい。

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取り上げるのは、ダブ・シモンズの手になる脚本術だ。他のハリウッド系の参考書ではあまり見られない部分、初心者でも実践しやすい部分を中心に解説していく。




 

参考:優れた脚本の書き方を教えます

じっさい、ダブ・シモンズの脚本術は、初心者向けだ。というのも、ダブ・シモンズが講師をつとめる映画講座は、主にプロデューサーを目指す人たちを対象としているからだ。

そういう人たちに、「いい脚本を手に入れる方法」を教え、うまく見つからないときや資金がたりないときに「自分で書く」方法として指導している脚本術だからだ。

ダブ・シモンズの著書は『世界一簡単なハリウッド映画の作り方』というタイトルで翻訳が出ている(書籍の情報は文末に記載する)。以下の内容は同書をかみ砕いたものだ。

脚本に関する数章のうち、2章が「優れた脚本の書き方を教えます」となっていて、「パートⅠ」である第9章の中身を抜粋するが、翻訳書にしてわずか10ページという量だ。

 

1日5分からのスタートでいい

その程度の情報量で脚本が書けるようになるものか、と怪しむ人もいるかもしれない。ところが、簡にして要を得ていて、なかなか参考になるところが多い。

同書には、脚本を書くために「3週間の予定を確保すること」となるが、そのへんのスケジューリングがキミ自身の都合で調整すればいいだろう。

もともと、働く人向けの講座なので、3週間みっちり書くということではなく、最初は1日5~10分でスタートするようなカリキュラムが組まれている。

それで、「自分のアイデアを90~120ページの脚本にすることが可能だ」と言っている。ハリウッドの1ページは日本だと400字詰め1枚=上演時間1分程度にあたる。

 

いきなり完璧を目指さない

では、ダブ・シモンズによるハリウッド式脚本術がどのようなものか、順を追って紹介していく。ダブ・シモンズは(オリジナルの)アイデアを具現化することを重視している。

「初から完璧なものはできない。書き直して書き直して初めて良いものができる」

というスタンスだから、そこを頭の片すみにおいて以下の内容を読み進めて欲しい。

初稿を仕上げるまでの6ステップ

ダブ・シモンズの説明によると、脚本の初稿をあげるための手順は、6ステップある。

1・題名を書く
2・メインとなるアイデア(テーマ)を書く
3・ログライン(3行あらすじ)を書く
4・トリートメントを書く
5・アウトラインを書く
6・脚本を書く

題名(タイトル)を書く

題名は内容がイメージできるようなものにする。使用単語が3語以内に収まるような覚えやすくてインパクトの強い題名であることがマーケティング的に求められる。

3語とは英語で、ということだから、日本語で言うと──

「となり」「の」「トトロ」

のようなものだと思えばいい。

最初から題名を考えるというのは、けっこう独特で新鮮だ。しかし、じっさいの映画製作では、企画段階でモチーフやジャンルが重視されるから、なかなか実用的である。

この段階では「仮タイトル」だと考えるなら、我々もこのやり方に賛成だ。

「田舎」「の」「森にすむオバケ」

といった具体性からスタートする方がいい。

メイン・アイデア(テーマ)を書く

次に、メインとなるアイデアを考える。

「男と女の間には友情は成り立つか」

といった例をダブ・シモンズは挙げている。これも具体的で企画が進みやすい。

テーマといってしまうと、つい、「友情」「愛情」「世界平和」といった抽象的なものをつい思い浮かべてしまいがちだが、上の例だと、すでにドラマが含まれている。

そういう意味で、メイン・アイデアというふうにとらえることがいいんだと思う。もちろん、キミ自身がこんな脚本を書きたい(映画を作りたい)というアイデアであること。

シンプルで方向性の見えることが望ましい。ダブ・シモンズが他に挙げている例は──

「男は最低の生き物」
「兄弟間のライバル意識」

ちなみに、単語数は5~9としている。

イメージが浮かぶアイデアにしよう

まだ初期段階だから、ダブ・シモンズの例はぼんやりしているように見えるかもしれない。しかし、映画好きなら、これだけで、なんとなく作品のテイストが浮かぶはずだ。

悪い例と挙げるとするなら、「やさしい気持ちになれる映画」の類だろうか。抽象的すぎて、どんな作品になるか、まったく見当もつかない。たぶん、本人もわかってない。

ダブ・シモンズの掲げるカリキュラムだと、題名を書くのが1日目、メイン・アイデアを書くのが2日目である。それぞれ、作業量としては、ほんの数分ですむ。

しかし、自分の脚本のイメージが見えてないと、考える時間がずいぶん必要となる。

そこが見えたら、アイデアをストーリー化する段階に移っていく。

ログラインを書く

ログラインを「3行あらすじ」と訳すのは、通称みたいなもので、2つか3つぐらいの文になる。コンパクトにストーリーを要約したもので、興味を惹く内容にする。

ログラインの参考例は、次の「3行」だ。

「ハリウッド女優が故郷に帰り、
高校時代の恋人に再会。
しかし、実は……ということが判明する」

「じつは……」というのがプロットの肝だというのは、ダブ・シモンズでなくとも主張していることで、ここの意外性によって、ドラマが進展することになる。

ログラインにある「……」には、たとえば、「ゲイだった」「親友を殺したのは彼だった」などが入る。ここを思いつくことで、たんなるアイデアが物語へと進化する。

トリートメントを書く

トリートメントというのは、日本語で言う「梗概」に近い。ただし、ハリウッドには独特の書き方があって、これについては、他のハリウッド脚本術でも解説されている。

脚本に書こうと思っている内容を3~5ページまとめたストーリーの概略だ。表記法は原文を参照してもらうとして、ダブ・シモンズ流の特徴は内容面での「書き方」だ。

プロットのポイントを「あらら」「困った!」と表現し、これが10~12分ごとに5~6回くり返されたあとに「最後の山場」がくるとしている。以下は、そのうち1つの例──

「盗んだ車が実はマフィアの車だった(「あらら」)ことが発覚し、タイヤの中から隠された40ポンドの覚せい剤が出てくる(「困った!」)。

アウトライン~初稿へ

トリートメントの段階では、まだ概略だから、「あらら」「困った!」のアイデアが並べられているだけ、それらをはじめ、全体の各シーンを構想するのがアウトラインだ。

1本の映画は40~60のシーンで構成されている。シーン番号を紙に書いて、書こうと思う内容をそこに埋めていく。埋まったら、あとは脚本書きに着手するのみだ。

【参考文献】

ここまで読んで、もっとこまやかにダブ・シモンズ流の脚本の書き方が知りたいと思ったら、実物にあたって欲しい。コンパクトだが、役立つ部分が多い。

なにより、脚本を大げさに考えすぎてビビってる初心者や参考書を読みすぎて頭でっかちになっている人は、こんなに簡単でいいんだと、ふっきれるはずだ。

 『世界一簡単なハリウッド映画の作り方』⇒ 詳細はこちら
 
 ダブ・シモンズ
 雷鳥社 (2007/8/1)





 
 
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